FDAが局所進行/転移性RET融合陽性固形腫瘍にセルペルカチニブを承認
2022年9月21日、FDA(米国食品医薬品局)は、rearranged during transfection(RET)遺伝子融合があり、局所進行または転移性の固形腫瘍を有する成人患者が、全身治療の実施中または実施後に増悪したか他に十分な治療選択肢がない場合を適応として、セルペルカチニブ(販売名:レットヴィモ、Eli Lilly and Company社)を迅速承認した。
有効性はLIBRETTO-001試験(NCT03157128)で証明された。この多施設共同、非盲検、複数コホート試験は、RET融合遺伝子陽性の(非小細胞肺がんと甲状腺がん以外の)腫瘍を有し、全身治療の実施中または実施後に疾患が増悪したか他に十分な治療選択肢のない患者41人を評価した。この有効性評価は、製品添付文書に既に記載されている試験と同じ試験に登録された、RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者と甲状腺がん患者343人のデータによって裏づけられた。患者には、疾患が増悪するか許容できない毒性が生じるまでセルペルカチニブを投与した。
有効性の主要評価項目は、盲検化独立評価委員会(BIRC)が判定した奏効率(ORR)および効果持続期間(DOR)であった。評価可能な患者41人のORRは44%(95% CI: 28, 60)、DORは24.5カ月(95% CI: 9.2, 推定不能)であった。奏効が得られた腫瘍の種類は、膵臓腺がん、直腸がん、唾液腺がん、原発不明がん、乳がん、軟部肉腫、気管支カルチノイド、卵巣がん、小腸がん、および胆管がんなどであった。
患者年齢の中央値は50歳(範囲:21~85歳)であった。人口統計学的特性の一部を取り上げると、54%が女性であり、68%が白人、24%がアジア人、および4.9%が黒人であり、7%がヒスパニック系/ラテン系であり、95%のECOG パフォーマンスステータスが0または1であり、95%が転移性がんであった。また、37人(90%)に全身治療歴があった[レジメン数中央値2(範囲:0~9)、32%が3回以上]。特に多くみられたがんは、膵臓(27%)、直腸(24%)、唾液腺(10%)、および原発不明(7%)のがんであった。RET融合遺伝子陽性の検出は、NGS(次世代シーケンシング)で97.6%、FISH(蛍光in situ ハイブリダイゼーション)法で2.4%であった。
患者に特に多くみられた副作用(25%以上)は、浮腫、下痢、疲労、口内乾燥、高血圧、腹痛、便秘、発疹、悪心、および頭痛であった。
体重に基づいたセルペルカチニブの推奨用量は、以下のとおりである。
・50 kg未満:120 mgを1日2回経口投与
・50 kg以上:160 mgを1日2回経口投与
レットヴィモの全処方情報はこちら を参照。(日本語の添付文書はこちらを参照)
日本語記事監訳:吉松 由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
翻訳担当者 前田 愛美
原文掲載日
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