CT灌流画像診断での過剰な放射線照射の懸念に関するFDAの臨時勧告

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2009年12月7日
Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674, karen.riley@fda.hhs.gov
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

CT灌流画像診断での過剰な放射線照射の懸念に関するFDAの臨時勧告

米国食品医薬品局(FDA)は本日(12月7日)、脳のCT灌流画像診断において放射線が過剰に照射されている事例に関して、継続中の調査の一環として画像診断を行う施設およびスタッフに対し、これ以上の問題発生を防ぐよう臨時の勧告を表明した。FDAは10月に、ロサンゼルスのCedars-Sinai医療センターで18カ月を超える期間において過剰に被曝した206人の患者を把握した結果、安全に対する最初の通告を行った。

その後、FDAは州政府および地方の保健機関と協力した結果、CT灌流画像診断における適正値よりも最大で8倍の被ばく量を受けた患者を少なくともさらに50人特定した。これらの事例には少なくとも1社以上のCT装置のメーカーが関連している。FDAは他の州からも過剰被曝の可能性があると報告を受けている。これらの患者の中には、CT灌流撮影後に、脱毛や皮膚の発赤を訴えている者もいる。高い被曝量によって、白内障が発症したり、ある癌種のリスクが増加する可能性がある。

現在までの調査結果に基づき、FDAは画像診断施設や放射線科医師および放射線技師に対して、過剰被曝の事例を増やさないよう、暫定的な勧告を表明した。これらの勧告は、すべてのCT灌流画像診断に適用され、それは類似の手順およびプロトコルを使用する脳および心臓の画像診断も含まれる。

FDAの勧告は以下の通りである。
1. 施設はCT灌流撮影を受けた患者が、過剰に被曝したかどうか評価する。
2. 施設は、すべてのCT灌流画像検査における撮影プロトコルを再検討し、毎回適正な線量が計画されているかどうか確認する。
3. 施設は、撮影プロトコルが毎回遵守されているか、および計画通りの被曝量となるように品質管理を実行する。
4. 放射線技師は、診断を行う前にCT装置の表示画面をチェックして、照射される放射線が各患者に対して適正水準であるか確認する。
5. 1回の画像診断で複数の検査が行われる場合、スタッフは毎回の検査において適正な被曝量となるように調節すべきである。

FDAはメーカーや専門的機関、州政府および地方の公的保健機関と協力して、これらの過剰被曝が行われた範囲と原因について調査を続けていく。

またメーカーに対しても、使用者に対するトレーニングや医療機関に提示している情報を再検討し、問題を早急に突きとめられるよう、新たに調査システムを導入するよう提案している。

「FDAは、この問題の調査において成果があがってきている」と、FDAの医療機器・放射線保健センター(Center for Devices and Radiological Health)の所長代行であるJeffrey Shuren医師は述べる。「この懸念の全容はまだ明らかになっていないが、各施設はCT灌流診断の手順を再検討するしかるべき処置をとり、これらの画像検査では特に注意すべきである」。

CTあるいはCAT撮影とは、コンピュータ断層撮影のことを指し、X線を使用して3次元の画像を作成し、医師が診断や治療を行うのに有用な医学的画像診断である。CT灌流撮影は脳や心臓といった各器官中での血流を評価するものである。

患者は、CT撮影を受けるには医師のアドバイスに従わなければならない。医学的に必要なCT撮影を適正に実行した場合、診断や治療のために重要な診療情報が得られる。CT灌流撮影を受けた後に、被曝について質問がある患者は、担当医に話す必要がある。

FDAは、病院およびその他の患者が利用する施設に対して、医療機器の使用に関連した死亡事故や重傷事故があればその事実の報告を課している。もし有害事象が特定されれば、医療専門家はその施設において報告手続きを行わなければならない。これらの事実は、医療機器メーカーあるいはFDAの任意報告プログラムであるMedWatchに報告するべきである。手続きは、オンラインでvoluntary reportに入力する方法、1-800-FDA-1088まで電話をかける方法、あるいはfillable form onlineから用紙をダウンロードして印刷後にfaxで1-800-FDA-0178に送信する方法、またはMedWatch, 5600 Fishers Lane, Rockville, ND 20852-9787まで郵送する方法がある。

CT灌流脳スキャンの安全性調査:初回通知
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm186105.htm

******

******
中島 美香 訳
中村 光宏(医学物理士)監修 
******


原文


【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

FDAニュースに関連する記事

FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認の画像

FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年9月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の再発リスクの高いステージIIおよびI...
FDAがアテゾ静注適応の非小細胞肺がんなどにアテゾ+ヒアルロニダーゼ配合皮下注製剤を承認の画像

FDAがアテゾ静注適応の非小細胞肺がんなどにアテゾ+ヒアルロニダーゼ配合皮下注製剤を承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年9月12日、米国食品医薬品局(FDA)は、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、肝細胞がん(HCC)、メラノーマ、胞巣状軟部肉腫(...
FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認の画像

FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、生検、亜全摘出、または肉眼的全摘出を含む手術後の感受性IDH1またはIDH2変異を有するグレード2の星細胞腫...
FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認の画像

FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月19日、食品医薬品局(FDA)は、FDA承認検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失またはエクソン21 L858R置換変異...