FDAが希少疾病用製品開発促進のため、21件に助成金を授与
2016年10月17日
米国食品医薬品局(FDA)は本日、希少疾病患者向けの製品開発を促進するため、新たに21件の臨床試験に助成金を授与することを発表した。今後4年間で合計2300万ドルを助成する。これらの新たな助成金は、国内外の臨床現場で研究を行っている研究機関および産業界の主席研究者に授与された。
「臨床試験への助成プログラムを通じて、希少疾患に対する安全で効果的な治療法の開発を奨励してきた30年の実績を誇りに思う」とFDA特別医療プログラム内のオーファンドラッグ(希少疾病医薬品)開発部長のGayatri R. Rao医師は述べた。「今年授与された助成金は、多くは治療選択肢がないか、非常に限られている21種類の希少疾病に対する必要性が高い研究を支援するもの」だと話した。
FDAは、オーファンドラッグ臨床試験助成プログラムを通して、希少疾病の治療に使う薬物、生物製剤、医療機器、および医療用食品の臨床開発を促進している。助成金は、FDA承認につながる、あるいは大きく貢献するような製品の安全性および有効性を評価する臨床試験を対象としている。
オーファンドラッグ臨床試験助成プログラムは1983年の創設以来、3億7000万ドル以上の資金を提供して、590以上の新たな臨床研究と55以上の製品の市販承認を支援してきた。2015年だけでも、本助成金の支援をうけた5件の研究により、神経芽細胞腫、リンパ脈管筋腫症、副甲状腺機能低下症、および低ホスファターゼ血症の治療など待ち望まれていた製品の承認につながった。
がん研究を加速するためのジョー・バイデン副大統領の全米がん撲滅イニシアチブ(National Cancer Moonshot Initiative)が定めた方向性にあわせ、新たな助成金の24%はがん患者を登録した研究に配分された。そのうち40%は深刻な脳腫瘍に焦点をあてており、うち一つの研究では再発性または進行性の悪性脳腫瘍を有する小児患者を募集している。
今年の助成金を受けた研究の43%は、新生児を含む小児患者を登録する試験である。このうち2つは、移植および移植関連の問題の研究に焦点を当てている。
さらに今年の助成プロジェクトの一つは医療機器の臨床試験で、脊髄損傷患者が手、腕、体幹をより独立して使えるようにする、把持、リーチ、体幹機能のための完全埋めこみ式神経装具の開発研究である。
今年度の助成申請数は合計68件で、助成率は31%(21/68)だった。2016年度の助成金受領者には以下が含まれる。
薬物/生物製剤:
- Chemigen, LLC(インディアナ州ジオンズビル)、Yansheng Du、筋萎縮性側索硬化症の治療のためのCC100の第1相試験-1年間で約243,000ドル
- Chemocentryx, Inc.(カリフォルニア州マウンテンビュー)、Petrus Bekker、抗好中球細胞質抗体関連血管炎治療のためのCCX168の第2相試験-1年間で500,000ドル
- コロンビア大学ヘルスサイエンス(ニューヨーク州ニューヨーク)、Elizabeth Shane、Terripatideによる治療を受けている閉経前女性の特発性骨粗鬆症における骨量減少抑制に対するデノスマブの第2B試験-約4年間で160万ドル
- DNTRIX, Inc.(テキサス州ヒューストン)、Frank Tufaro、膠芽腫の治療のためのDNX-2401の第2相試験-4年間で200万ドル
- Elorac, Inc.(イリノイ州バーノンヒルズ)、Scott Phillips、菌状息肉腫における掻痒(そうよう)症の治療のためのナロキソンローションの第3相試験-4年間で約200万ドル
- ジョンズ・ポプキンス大学(メリーランド州ボルチモア)、Pamela Zeitlin、嚢胞性線維症の治療のためのグリセロールフェニルブチレートの第1相試験および第2相試験-3年間で75万ドル
- Oncoceutics,Inc.(ペンシルベニア州ハメルズタウン)、Wolfgang Oster、多発性骨髄腫の治療のためのONC201の第1相試験および第2相試験-4年間で約170万ドル
- オレゴン保健科学大学(オレゴン州ポートランド)、Kevin Winthrop、肺抗酸菌(MAC)症治療のためのClofazimineの第2相試験-4年間で約180万ドル
- Santhera Pharmaceuticals(スイス、リースタル)、Thomas Meier、先天性筋ジストロフィー治療のためのOmigapilの第1相試験―1年で246,000ドル
- Scioderm, Inc.(ノースカロライナ州ダーラム)Jay Barth、表皮水疱症治療向けのSD101の第3相試験-1年で50万ドル
- シアトル児童研究所(ワシントン州シアトル)、Leslie Kean、移植片対宿主病予防のためのアバタセプトとカルシニューリン阻害剤とメトトレキサート併用の第2相試験―1年で99,630ドル
- スローンケタリング記念がんセンター(ニューヨーク州ニューヨーク)、Katharine Hsu、神経芽細腫治療のためのヒト化3F8 MoAbおよびNK細胞の第1相試験―3年間で75万ドル
- Taimed Biologics USA Corp(カリフォルニア州アーバイン)、Stanley Lewis、多剤耐性HIV患者の治療のためのIbalizumabの第3相試験―1年で50万ドル
- アラバマ大学(アラバマ州バーミンガム、州)、Gregory Friedman、小児脳腫瘍治療のためのHSV G207と放射線の第1相試験-3年間で約75万ドル
- カリフォルニア大学サンディエゴ校(カリフォルニア州ラホーヤ)、Donald Durden、肝細胞がん治療用のPI-3キナーゼ/ BRD4阻害剤SF1126の第1相試験―3年間で750,000ドル
- フロリダ大学(フロリダ州ゲインズビル)、Peter Stacpoole、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体欠損症の治療のためのジクロロアセテートの第3相試験 -4年間で約200万ドル
- ミシガン大学(ミシガン州アナーバー)、Kathleen Stringer、急性プラスチック気管支炎の治療のためのInhaled Activase(吸入アクティベース)の第2相試験-4年間で2百万ドル
- ノースカロライナ大学チャペルヒル校(ノースカロライナ州チャペルヒル)、Matthew Laughon、未熟児の気管支肺異形成予防のためのFurosemideの第2相試験 -4年間で約140万ドル
- バンダービルド大学医療センター(テネシー州ナッシュビル)、Cyndya Shibao、多系統萎縮症治療のためのAtomoxetineの第2相試験 ―4年間で約160万ドル
- Wilson Wolf Manufacturing Corporation(ミネソタ州ニューブライトン)、Sunitha Kakarla、アデノウィルス病の治療のためのViralym-A第1相試験―3年間で約75万ドル
医療機器:
- Case Western Reserve大学(オハイオ州クリーブランド)、Kevin Kilgore、頚椎脊髄損傷の把持、リーチ、および体幹機能のためのネットワーク化された神経装具の第2相試験-4年間で200万ドル
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