FDAがC型慢性肝炎に初の治療薬レディパスビル・ソホスブビル配合剤を承認

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2014年10月10日

FDAがC型肝炎治療に初の配合剤(レディパスビル・ソホスブビル配合剤)を承認

米国食品医薬品局(FDA)は、C型慢性肝炎(HCV)遺伝子型1型感染治療にレディパスビル・ソホスブビル配合剤[ledipasvir and sofosbuvir](Harvoni)を承認したと本日発表した。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤は、慢性HCV遺伝子型1型感染治療における初めての配合剤である。同薬剤はまた、FDAがC型肝炎治療ですでに承認済の2つの薬剤であるインターフェロンやリバビリン投与を必要としない治療法として初めて承認された治療法である。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤に配合されているレディパスビルとソホスブビルはともに、HCV複製のために必要な酵素を阻害する。ソホスブビルは、すでにHCV治療薬として承認され、ソバルディ(Sovaldi)という商品名で販売されている。レディパスビル・ソホスブビル配合剤はまた、レディパスビルという新薬も含有している。

「C型肝炎ウイルスの新しい治療法の開発と承認によって、この病気とともに生きるアメリカ人にとって治療のパラダイムが変化してきている」とFDAの医薬品評価研究センターの抗菌剤部門長であるEdward Cox博士は述べている。昨年までは、C型肝炎ウイルスで唯一使用できる治療は、インターフェロンとリバビリン投与であった。現在では、患者や医療従事者は、治療の単純化を可能にした経口剤の併用を含む複数の治療選択肢を持つことができるようになった。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤は、慢性HCV感染治療で過去1年以内にFDAに承認された3番目の薬剤である。FDAは、Olysio(シメプレビル)を2013年11月に、ソバルディを2013年12月に承認した。

C型肝炎は、肝臓の炎症を引き起こし、肝機能低下や肝不全へと進行するウイルス性疾患である。HCV感染者の多くは、何十年か経過し肝臓の障害が明らかになるまで無症状である。

慢性HCV感染者の中には、何年もかけて肝臓の繊維化と機能不良(肝硬変)に移行し、出血、黄疸(眼や皮膚が黄色くなること)、腹水の貯留、感染、肝癌を併発する人もいる。
アメリカ疾病対策予防センター(CDC)によると、320万人のアメリカ人がHCVに感染しているものの適切な治療を受けておらず、その15~30%が肝硬変に移行すると予測している。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤の有効性は患者1518人が登録された3つの臨床試験で評価された。対象となった患者は、C型肝炎で一度も治療を受けていない(未治療)患者と前回治療で著効しなかった(既治療)患者で、肝硬変の患者も含まれていた。患者は、レディパスビル・ソホスブビル配合剤にリバビリンを併用する群と、併用しない群に無作為に割り付けられた。試験は、C型肝炎ウイルスが治療終了後12週間後に血中に検出されない(持続的ウイルス学的著効、すなわちSVR)場合にHCV感染が治癒したと判定するようデザインされた。

一番目の試験は未治療の患者で構成され、レディパスビル・ソホスブビル配合剤を8週間内服した患者では94%が、12週間内服した患者では96%がSVRとなった。二番目の試験では、未治療で肝硬変を合併、あるいは合併しない患者で12週間のレディパスビル・ソホスブビル配合剤内服により99%がSVRとなった。治療歴があり肝硬変の合併がある患者、または合併のない患者でのレディパスビル・ソホスブビル配合剤の有効性を評価した三番目の試験では、同薬剤を12週間内服した場合では94%、24週間内服した場合では99%がSVRを達成した。全試験において、リバビリン療法では患者の奏効率が向上しなかった。

試験において患者に最もよくみられた副作用は、倦怠感と頭痛であった。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤はFDA承認取得のために、画期的治療指定された7番目の新薬である。FDAは、予備検討段階の臨床的エビデンスにおいて、重篤あるいは致死的な疾患の患者に対して既存治療を越える著明な改善が示された場合、スポンサーからの申請により、画期的治療薬として指定することができる。
レディパスビル・ソホスブビル配合剤はFDAの優先審査プログラムである、重篤な症状を治療する薬剤、つまり承認された場合に安全性や有効性において著明な改善をもたらすことができる薬剤の迅速審査制度で審査された。

レディパスビル・ソホスブビル配合剤とソバルディは、カリフォルニア州フォスターに拠点を持つギリアド社により販売されている。シメプレビルはニュージャージー州ラリタンにあるヤンセンファーマにより販売されている。

FDAは、連邦政府保健福祉省(DHHS)にある機関であり、医薬品、動物用医薬品、ワクチン、人のための生物学的製品や医療機器の安全性、有効性を保証し公衆衛生を守る。
FDAは、また、食品供給、化粧品、サプリメント、電磁放射線製品の安全性、たばこ製品の規制についても担当している。

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滝坂 美咲 訳
畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター) 監修 
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原文

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