オンダンセトロン(ゾフラン®)32 mg注射液(静脈内投与):最新版安全性情報–重篤な心リスクの可能性による製品の市場回収/FDA安全性情報

2012年12月4日

腫瘍科医、外科医、および医療従事者向け

原文

問題点:米国食品医薬品局(FDA)は医療従事者に対し、制吐剤ゾフラン®(オンダンセトロン塩酸塩)32 mg注射液(静脈内投与)は重篤な心リスクの可能性により製造販売を中止する旨、通達を行っている。

背景:ゾフラン32 mg注射液は化学療法により誘発される悪心や嘔吐の予防に用いられてきた。2012年6月29日付の医薬安全性情報(DSC)では、QT間隔延長と呼ばれる特異的な不整脈により、死に至る可能性のある心調律異常(トルサード・ド・ポアント)を発現するリスクがあるため、本剤の使用を避けるよう通達を行った。本剤はデキストロースまたは生理的食塩液に予め溶解し、プラスチック容器に封入され販売されている。

FDAは、2013年の早い時期までに本剤の市場回収が行われると見込んでいる。またFDAは、溶解済みの注射液として現在販売されているオンダンセトロン32 mg注射液(静脈内投与)の市場回収は、現在の市場での販売比率が非常に小さいためオンダンセトロン注射液の供給不足にはつながらないと見込んでいる。

推奨:FDAは、化学療法誘発性の悪心・嘔吐の予防に対し、4時間間隔で3回投与する0.15 mg/kg静注剤療法については引き続き推奨する。オンダンセトロン経口剤については、化学療法誘発性の悪心・嘔吐の予防に対して引き続き適応となる。今回は、十分な情報がないため、FDAは他の単回静注剤療法を推奨するにはいたっていない。

医療従事者及び患者は、本剤の使用に伴う有害事象または副作用についてFDAのMedWatch安全性情報・有害事象報告プログラムに報告することが推奨される。

・インターネット上で報告書に記入のうえ提出すること:www.fda.gov/MedWatch/report.htm

・用紙をダウンロード、または1-800-332-1088へ電話にて報告書用紙を依頼し、必要事項記入の上、用紙上の記載住所に送付する、または1-800-FDA-0178にファックスで提出すること。

[12/04/2012 – Safety Communication – FDA]
[06/29/2012 – Safety Communication – FDA]
[09/15/2011 – Safety Communication – FDA]

******
菅原宣志 訳
辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター 株式会社メディア総合研究所)監修 
******

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

FDAニュースに関連する記事

米FDA、成人と小児のAML/MDSでのallo-HSCTの前処置としてトレオスルファン+フルダラビンを承認の画像

米FDA、成人と小児のAML/MDSでのallo-HSCTの前処置としてトレオスルファン+フルダラビンを承認

2025年1月21日、米国食品医薬品局(FDA)は、1歳以上の急性骨髄性白血病(AML)または骨髄異形成症候群(MDS)の成人および小児患者を対象とした同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)...
米FDAがマントル細胞リンパ腫にアカラブルチニブ+ベンダムスチン+リツキシマブ併用を承認の画像

米FDAがマントル細胞リンパ腫にアカラブルチニブ+ベンダムスチン+リツキシマブ併用を承認

2025年1月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、自家造血幹細胞移植(HSCT)非適応かつ未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)成人患者を対象に、アカラブルチニブ(販売名:カルケンス...
米FDAが転移/局所進行皮膚扁平上皮がんにcosibelimab-ipdlを承認の画像

米FDAが転移/局所進行皮膚扁平上皮がんにcosibelimab-ipdlを承認

2024年12月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)遮断抗体であるcosibelimab[コシベリマブ]-ipdl(販売名:Unloxcyt...
FDA承認情報 (2024年)の画像

FDA承認情報 (2024年)

2025 | 2024 | 2023 | 2022過去に承認された抗がん薬/血液腫瘍治療薬に関する情報のページです。

■最新の承認情報はこちらから。
 【FDAサイト】
 ・英語ページ:O...