FDAが命にかかわる抗癌剤の供給強化に乗り出す/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年2月21日
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FDAが命にかかわる抗癌剤の供給強化に乗り出す

オバマ大統領による行政命令に基づく公示

米国食品医薬品局(FDA)は、今後の薬剤不足を防ぐためのオバマ大統領による行政命令に基づき、命にかかわる抗癌剤の供給増加のための一連の施策を本日発表した。

FDA局長のMargaret A. Hamburg医師は話す。「薬剤不足は患者にとっては恐怖です。オバマ大統領は、薬剤不足の未然防止が現政権の最優先事項であると明言しました。FDAと製薬業界、その他の関係者の協力によって、今後、抗癌剤を待っている患者や家族、薬剤不足を心配している患者や家族に必要な薬剤が入手可能になります」。

抗癌剤ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤)の深刻な不足およびメトトレキサートの急速な供給低下に対応し、FDAは米国内の患者が利用可能な供給量増加に必要な積極的対策をとった。ドキシルに関しては、代替薬のLipodox〔リポドックス〕(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤)が仮輸入されることになっており、数週間のうちに薬剤不足が解消され患者需要が完全に満たされることが期待される。メトトレキサートについては、すでに発表された対応策のほか、FDAは新規製薬会社の防腐剤無添加メトトレキサートを新たに承認し、供給がさらに強化され、この重要な薬剤の不足回避が期待される。FDAはメトトレキサート不足の問題に対処するために、申請審査を早めた。

さらに、処方薬不足に関するオバマ大統領の行政命令に応じて、FDAは本日、薬剤不足または供給停止になる可能性のある問題について、FDAに対して義務的にまたは自発的に報告する際の詳しい要件に関する業界向けドラフト・ガイダンスを発行した。2011年10月31日付けオバマ大統領の行政命令および同日のFDAから製造会社に対する公式書簡によって早期通知の重要性に対する認識が高まり、業界からの薬剤不足の可能性に関する自発的通知が6倍に増加した。2011年には医薬品計195品の不足が回避された。行政命令の発令以降、FDAは医薬品114品の不足を回避している。

FDAが施行の自由裁量権を行使して、化学療法薬リポドックスがドキシルの代替薬として輸入されることになっている。ドキシルは、白金系抗癌剤を含む化学療法が無効となった卵巣癌の治療をはじめ、複数の治療レジメンに用いられている。また、エイズ関連カポジ肉腫や多発性骨髄腫にも適応がある。FDAは、これから始まるリポドックスの供給によって患者需要を十分に満たすことができると見込んでいる。

リポドックスに関するFDAの自由裁量権行使は、一時的なものであり、サン・ファーマ社およびその正式な販売会社であるキャラコ製薬に特定されている。

非承認薬の海外からの一時的な輸入は、患者にとって重要な承認薬が不足し、その不足がFDA承認薬によって時機を逃すことなく解消できない稀な場合に考慮される。

必要な医薬品を輸入しようとする会社があれば、FDAは海外で承認された薬剤を評価し、薬剤の品質と国内の患者に対する大きな危険がないことを確認する。このような評価が良好な場合にのみ、FDAは施行の自由裁量権を行使し、海外の医薬品が米国市場に一時的に輸入される。

メトトレキサートは各種の癌のほか重篤な疾病の治療に必要な薬剤のひとつであり、FDAはこれまでに多くの企業に協力を求めて、患者需要をもれなく満たすために供給を維持することに成功してきた。防腐剤無添加メトトレキサートは、急性リンパ性白血病(ALL)の小児患者の髄腔内(脳および脊髄周囲の体液に注入する)治療および骨肉腫に対する大量療法に必要である。

まず、FDAはAPP Pharmaceuticals社によって製造された防腐剤無添加メトトレキサート後発品を優先審査し承認した。この製品が3月には入手可能となり、無期限にその状態が続くことを期待している。次に、ホスピーラ社が追加供給分の出荷を早めたために新製品が31,000瓶、つまり1カ月以上の需要を満たすに十分な量となり、本日米国内の病院および治療センター数百カ所に発送される。FDAはこれ以外のメトトレキサート製造会社とも積極的に取り組んでおり、マイラン製薬やサンド株式会社をはじめとする会社が患者需要に応えるために生産増大に力を入れている。

APP社の防腐剤無添加メトトレキサートに関する申請は、すでに承認済みの後発品で同社が以前に製造停止した製品の申請を補完するものである。FDAは(最大手の製造会社Bedford/Ben Venue社が任意に工場を閉鎖したことによって)メトトレキサートの供給に問題が生じる可能性があることに気がつき、どのようにすれば不足分を埋める援助ができるのかを探るために他社に接触をはかった。

APP社の申請承認の前、Ben Venue社の任意閉鎖に続いて、FDAはBen Venue社と協力して、生産済みの防腐剤無添加メトトレキサートに関して安全性を確認した後、出荷に取り組んだ。この供給分はすでに利用可能となっており、FDAおよび一般民の要求に応えて他社もメトトレキサートの生産増大に取り組んでいるため、緊急用にあてられることになる。

現政権はまた、2011年10月31日に全処方薬に関して不足をFDAに報告することを求めるとともに、その要件を施行する新たな権限をFDAに与える超党派の法律を支持することを発表した。薬剤不足対策プログラムに十分に取り組むには生産力の追加が必要である一方、FDAへの早期通知が増えれば、薬剤不足の発生率およびその期間の対処に大きなプラスの影響をもたらすことが可能である。

詳しい情報については以下を参照のこと:

Drug Shortages(薬剤不足)〔原文〕

Drug Shortage Guidance(薬剤不足に関するガイダンス)〔原文〕

Labeling for Doxil (doxorubicin hydrochloride liposome injection) (ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤ドキシルの医薬品表示)〔原文〕

February 21, 2012, Letter to Healthcare professionals regarding doxorubicin(2012年2月21日付けのドキソルビシンに関する医療従事者向け書簡)〔原文〕

Labeling for methotrexate(メトトレキサートの医薬品表示)〔原文〕

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ギボンズ京子 訳
久保田 馨 (呼吸器内科/日本医科大学付属病院)監修 
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原文

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