Anzemet〔アンゼメット〕(メシル酸ドラセトロン):医薬品安全性通達−心調律異常の報告

腫瘍医および心臓病専門医向け

原文

2010年12月17日 問題点:FDAは医療従事者に対し、小児および成人患者における癌化学療法に関連する悪心および嘔吐(CINV: 化学療法誘発性悪心嘔吐)を予防するための、Anzemet〔アンゼメット〕(メシル酸ドラセトロン)注射剤の使用停止を勧告する新しい情報が添付文書の禁忌に追加となることを通達した。 新しいデータによると、Anzemet注射剤は、心調律異常である多形性心室頻拍の発現リスクを増加させ、場合によっては致死性となる可能性があることが明らかになった。特にリスクが高い患者は、基礎心疾患を有する者、あるいは心拍数または調律の既存疾患を有する者である。Anzemetは、心電図上のQT間隔、PR間隔、およびQRS間隔の延長を用量依存的に引き起こす。 背景:FDAは以前、AnzemetによりQT間隔の延長が引き起こされる可能性を示唆する心血管安全性についての懸念を述べた。しかし当時のデータの限界により、AnzemetによるQT間隔延長の程度を明確に確立することができなかった。FDAは製薬企業に対し、延長の程度を確定するために、成人を対象とした綿密なQT試験を実施するよう推奨した。小児対象の試験は推奨されておらず、それは小児集団における心拍数、およびそれによるQTc間隔の大きな可変性による。添付文書の変更を裏付ける情報については、医薬品安全性伝達(DSC)のデータ要約の項を参照のこと。 推奨:Anzemetは、先天性QT延長症候群を有する患者に使用してはならない。Anzemet投与前に、低カリウム血症および低マグネシウム血症の補正が必要とされる。Anzemet投与後は、臨床的に示されるとおりに、これらの電解質のモニタリングを行うこと。うっ血性心不全、徐脈、および基礎心疾患を有する患者、および高齢者、さらにAnzemet投与を受けている腎臓障害を有する患者に対し、心電図によるモニタリングを行うこと。Anzemet注射剤は術後の悪心および嘔吐の予防と治療において使用することは可能であり、それは低用量の使用の場合は心臓の電気活動に及ぼす影響および心調律異常を引き起こす可能性が少ないことによる。 Anzemet錠剤はCINVの予防として使用することは可能であり、それはこの薬剤の注射剤と比べた場合、経口薬による心調律異常の発現リスクは低いことによる。しかし、この潜在的リスクについてのより強い警告が、Anzemet錠剤の添付文書の「警告」および「使用上の注意」の項に新たに追加される。 医療従事者および患者に対する追加的な推奨についてはDSCを参照のこと。

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