慢性腎疾患における赤血球生成促進剤(ESA製剤):医薬品安全性通達-推奨用量の改訂/FDA安全性情報
慢性腎疾患における赤血球生成促進剤(ESA製剤):医薬品安全性通達-推奨用量の改訂
エポエチンアルファ(市販名:Epogen〔エポジェン〕、Procrit〔プロクリット〕)およびダルベポエチンアルファ(市販名:Aranesp〔アラネスプ〕)
腎臓病専門医および腫瘍医向け
2011年6月24日
問題点:FDAは医療従事者に対し、赤血球生成促進剤(ESA製剤)をより安全に使用するために、慢性腎疾患(CKD)患者におけるこれらの製剤のより保守的な用量での新たな推奨用量の変更が承認されたことを通達した。FDAによるこれらの推奨は、この患者集団におけるESA製剤の使用に伴う心血管事象リスクの上昇を示すデータの裏づけによるものであった。新たな推奨用量は臨床試験の結果に基づくものであり、CKD患者においてヘモグロビン値が11 g/dLを超えることを目標にESA製剤を使用しても、より低い目標値の場合と比べて付加的なベネフィットは得られず、また心臓発作あるいは脳卒中などの重篤な心血管有害事象の発現リスクを高めることが示された。
背景:ESA製剤は、特定の種類の貧血の治療に使用され、骨髄を刺激して赤血球の産生を行い、輸血の必要性を減少させる。ESA製剤の製造企業は、これらのラベルの「枠囲警告」、「警告および使用上の注意」、および「用法・用量」の項目を改訂し、この新たな情報を追加した。
推奨:医療従事者は、CKD患者における赤血球輸血の必要性を減少させるためにESA製剤を使用することで起こり得るベネフィットと、重篤な心血管事象リスクの上昇とを比較検討し、また患者に対してESA製剤のリスクの可能性とベネフィットについての現時点の知見を伝えるべきである。ESA製剤による治療は個別化により実施し、輸血の必要性を減少するために可能な限り低用量のESA製剤を使用するべきである。主要な試験を掲載した表およびその他の関連のある参考文献などの追加情報については、医薬品安全性通達を参照のこと。CKD患者におけるESA製剤による治療は、2010年10月18日に開催された心血管用薬および腎臓用薬諮問委員会(CRDAC: Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee)において討論が行われている。諮問委員会の議事録の要約は下記のリンクを参照のこと。
医療従業者や患者に対し、これらの製剤の使用に関連した有害事象および副作用についてFDA MedWatch Safety Information およびAdverse Event Reporting Programに報告することを推奨している。
- オンラインhttps://www.accessdata.fda.gov/scripts/medwatch/medwatch-online.htmにて、報告書に記載の上提出すること。
- 書式をダウンロードするか、または1-800-332-1088に電話をして報告用書式を請求すること。記入後、住所記載済みの書式にある住所に送るか、または1-800-FDA-0178にファックスで送付すること。
[06/24/2011 – Drug Safety Communication – FDA]
[06/24/2011 – Press Release – FDA]
[10/18/2010 – Summary Minutes of the Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee – FDA]
***************** 栃木 和美 訳 吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修 *****************
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