タルクのFDA承認

原文 2003/12/15掲載 2013/07/03更新

商標名:Sterile Talc Powder™、Sclerosol ® Intrapleural Aerosol、Steritalc®

・悪性胸水(2003/12/15)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2003年12月15日に、米国食品医薬品局(FDA)は症候性患者の悪性胸水の再発を減少させるために、硬化剤として胸のチューブを通し胸膜内(胸膜腔内)に投与するタルク(Sterile Talc Powder™、ブライアン社商標)を承認しました。

胸腔(壁側胸膜)側の層と肺を覆っている膜(臓側胸膜)の間の胸膜腔に流体が溜まると悪性胸水が起こります。これは特に末期癌の患者に良くみられる悪性疾患の合併症です。

発表された医学文献の中で安全性と効能を示すデータが立証されています。さまざまな充実性腫瘍のある患者の悪性の胸水再発リスクを評価できるように設定された5つの無作為化試験が行われました。  各試験において、「良い結果」の客観的な度合いを定義し、タルク懸濁液は同時進行対照と比較されました。5つの無作為化対照試験での評価可能な89人の患者の秦効率は、89%(範囲 79-100%)でした。13の追加された単体試験結果と発表されている文献からも「秦効率」が75%から100%と定義されその効能を裏づけました。

胸膜内タルク懸濁液投与に伴う最も頻繁に文献で報告される有害事象(AEs)は、熱と疼痛です。急性肺炎と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は胸膜内Talc投与と関連しているとの報告がなされました。

充分に胸水をドレナージ(排液)した後にタルクを投与すべきです。胸膜癒着術の成功は完全に肺を再膨張出来るかどうかと胸膜液の排出を完全にできるかどうかによります。推奨投与量は50-100mLの生理的食塩水で溶解した本剤5gです。効果のある胸膜癒着術のための最適投与量は不明ですが、5gは発表された文献で最も頻繁に報告された投与量です。

他の認可されたタルクの処方製剤(Sclerosol Intrapleural Aerosol™、ブライアン社製)は クロロフルオロカーボン(CFC)推進剤に入っており、表面開胸手術時又は胸腔鏡検査時に直接吸入により投与します。

---------------
HAJI 訳
平 栄(放射線腫瘍科)監修 
---------------

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

FDAニュースに関連する記事

FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認の画像

FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年9月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の再発リスクの高いステージIIおよびI...
FDAがアテゾ静注適応の非小細胞肺がんなどにアテゾ+ヒアルロニダーゼ配合皮下注製剤を承認の画像

FDAがアテゾ静注適応の非小細胞肺がんなどにアテゾ+ヒアルロニダーゼ配合皮下注製剤を承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年9月12日、米国食品医薬品局(FDA)は、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、肝細胞がん(HCC)、メラノーマ、胞巣状軟部肉腫(...
FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認の画像

FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、生検、亜全摘出、または肉眼的全摘出を含む手術後の感受性IDH1またはIDH2変異を有するグレード2の星細胞腫...
FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認の画像

FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月19日、食品医薬品局(FDA)は、FDA承認検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失またはエクソン21 L858R置換変異...