FDA、癌患者の重篤な好中球減少症に対する新治療薬を承認 /FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年8月29日
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FDA、癌患者の重篤な好中球減少症に対する新治療薬を承認
本日、米国食品医薬品局(FDA)は、一部の癌の患者が化学療法を受ける際に発症する重篤な好中球減少(感染防御の役割を担う白血球である好中球が減少する状態)の期間を短縮する薬剤として、Sicor Biotech社製Tboフィルグラスチム(Tbo-filgrastim)を承認した。
Tboフィルグラスチムは、血液や骨髄以外の癌(つまり、非骨髄性悪性腫瘍)に対して骨髄中の好中球産生を大幅に低下させる化学療法薬の投与を受けている成人患者に対して使用される。好中球の減少は、感染や発熱(発熱性好中球減少症)につながる可能性がある。
Tboフィルグラスチムは骨髄を刺激し、好中球産生を促進する製剤で、化学療法の24時間後に注射で投与する。
FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長Richard Pazdur医師は、「Tboフィルグラスチムのような支持療法製剤は、癌治療の副作用を軽減したり、より早い回復を可能にします」と言う。
Tboフィルグラスチムは、ドキソルビシンとドセタキセルの二剤併用化学療法を受けている成人の進行乳癌患者348人を対象とした臨床研究で評価された。患者はランダムに、Tboフィルグラスチムを投与する群、プラセボを投与する群、骨髄での好中球産生を促す別の製剤(米国では未承認のフィルグラスチム製剤)を投与する群、に割り付けられた。プラセボを投与された患者が重篤な好中球減少症からの回復に3.8日を要したのに対して、Tboフィルグラスチムを投与された患者は1.1日で回復したという研究結果に基づいて、Tboフィルグラスチムの有効性が確定された。
Tboフィルグラスチムの安全性は、骨髄の細胞数減少を引き起こす高用量化学療法が行われた乳癌、肺癌、非ホジキンリンパ腫の3つの臨床研究(合計680人の成人患者が参加)で評価された。Tboフィルグラスチム投与を受けた患者で最も多くみられた副作用は骨痛であった。
Tboフィルグラスチムは、新薬として生物学的製剤承認申請(BLA)が行われ承認された。つまり、FDAはTboフィルグラスチムを、成分が類似しており既に承認されている生物学的製剤であるニューポジェン(フィルグラスチム)の後発品として承認したのではない。
Tboフィルグラスチムは、Teva Corporation社の傘下のSicor Biotech UABが製造している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕
FDA: Drug Innovation (薬剤における革新)〔原文〕
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山田登志子 訳
田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学教授)監修
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