FDA が2種類のリンパ腫の治療にAdcetris〔アドセトリス〕を承認/FDAニュース
For Immediate Release: 2011年8月19日
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FDAが2種類のリンパ腫の治療にAdcetris〔アドセトリス〕を承認
米国食品医薬品局(FDA)は本日、ホジキンリンパ腫(HL)および稀な種のリンパ腫である全身性の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)の治療にAdcetris 〔アドセトリス〕(brentuximab vedotin〔ブレンツキシマブ・ベドチン〕)を承認した。
リンパ腫は、リンパ系の組織に発生する癌である。Adcetrisは、抗体と薬剤を結合させた抗体‐薬物複合体であり、リンパ腫細胞に発現するCD30抗原を標的とする薬剤の作用を抗体が誘導する。
Adcetrisは、自家幹細胞移植後または2次化学療法後(移植を受けられない場合)に、病状の進行がみられたHL患者に用いられる。自家幹細胞移植は、患者自身の骨髄を用いる治療法であり、大量化学療法後に損傷した骨髄を修復することを目的としている。また、Adcetrisは1次化学療法後に病状の進行がみられたALCL患者にも投与される可能性がある。
「初期の臨床成績は、Adcetrisを投与されたホジキンリンパ腫および全身性未分化リンパ腫患者で、有意な奏効率が得られたことを示している」とFDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長Richard Pazdur医師は述べている。
米国国立癌研究所(NCI)によれば、一般的なHLの症状は、リンパ節や脾臓の腫脹、発熱、体重減少、倦怠感、寝汗などである。NCIは、2011年の米国におけるHLの新規発症例は8,830人、同疾患による死亡例は約1,300人と推定している。
またNCIによると、全身性ALCLは稀な種の悪性腫瘍(非ホジキンリンパ腫)であり、リンパ節、皮膚、骨、軟部組織、肺、肝臓など身体のさまざまな部位に発生する可能性がある。
Adcetrisは、HL治療薬としては1977年以降、初めてFDAに承認された新薬であり、ALCLの適応を明確に示したものとしては初となる。
HL患者に対するAdcetrisの有効性は、患者102人を対象とした1件の臨床試験で確立された。このシングルアーム試験では、治療薬はAdcetrisのみとされた。主要エンドポイントは奏効率、すなわち完全または部分的な腫瘍縮小もしくは腫瘍消失が認められた患者の割合であった。73%の患者において、治療によって完全奏効または部分奏効のいずれかが得られた。これらの患者の平均奏効期間は6.7カ月であった。
全身性ALCL患者に対するAdcetrisの有効性は、患者58人を対象とした1件の臨床試験で確立された。このシングルアーム試験では、治療薬はAdcetrisのみとされた。HL試験と同様に、主要エンドポイントは奏効率であった。Adcetrisを投与されたALCL患者のうち、86%で完全奏効または部分奏効のいずれかが得られ、平均奏効期間は12.6カ月であった。
最もよくみられたAdcetrisの副作用は、感染に対する防御を担う白血球数の減少(好中球減少症)、神経障害(末梢感覚神経障害)、倦怠感、悪心、貧血、上気道感染、下痢、発熱、咳、嘔吐および血小板数の減少(血小板減少症)であった。
妊婦の場合には、Adcetrisが胎児に害を及ぼす可能性があるため、注意する必要がある。
本薬剤は、FDAの迅速承認制度のもとで承認されている。この制度では、FDAは重篤な疾患を治療する薬剤を、臨床的有用性を適切に予測しうる代替エンドポイントに効果がみられたという臨床データに基づいて承認できる。この制度は、期待されている新薬をより早くから使用する機会を患者に提供することを目的としているが、製薬会社は、承認後に薬剤の臨床的有用性を裏づけるため、追加で臨床的な情報を提出することが求められる。
Adcetrisは、ワシントン州ボセルに拠点をおくSeattle Genetics社が販売している。
詳細については下記も参照のこと:
FDA: Office of Oncology Drug Products (抗腫瘍製品室)
NCI: Hodgkin lymphoma (ホジキンリンパ腫)
NCI: Non-Hodgkin lymphoma(非ホジキンリンパ腫)
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濱田 希 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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