FDAがgBRCA陽性でHER2陰性の局所進行/転移乳がんにタラゾパリブを承認

2018年10月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、有害または有害な可能性がある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつHER2陰性の局所進行乳がんまたは転移乳がんの患者に対して、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であるタラゾパリブ(TALZENNA、ファイザー社)を承認した。治療対象となる患者は、FDA承認タラゾパリブのコンパニオン診断検査(CDx)に基づいて選定しなければならない。

本承認は、gBRCA陽性かつHER2陰性の局所進行乳がんまたは転移乳がん患者431人について、タラゾパリブ(1mg)を投与する群、または医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、またはビノレルビン)を受ける群に2対1の割合で無作為に割り付けた非盲検試験、EMBRACA(NCT01945775)試験に基づいている。患者の試験参加条件は、gBRCAに有害または有害な可能性がある変異があり、かつ局所進行疾患または転移疾患に対して過去に3レジメン以下の細胞傷害性化学療法を受けていることであった。患者は、術前化学療法、術後化学療法、転移治療におけるアントラサイクリンおよびタキサン(禁忌の場合を除く)の両方またはいずれか一方の治療を受けている必要があった。

主要効果判定項目は、RECIST v1.1に基づく無増悪生存期間(PFS)であり、盲検化した独立中央盲査によって評価された。PFSの推定中央値は、タラゾパリブ治療群および化学療法治療群でそれぞれ8.6カ月、5.6カ月であった(HR 0.54;95%CI:0.41,0.71;p <0.0001)。

処方情報には、骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病、骨髄抑制および胚-胎児毒性に対する警告および注意が含まれる。いずれかのグレードで最もよくみられる(≧20%)有害反応は、疲労、貧血、吐き気、好中球減少症、頭痛、血小板減少症、嘔吐、脱毛症、下痢、食欲減退であった。

FDAはさらに、タラゾパリブを受けることができる有害または有害な可能性があるgBRCA陽性乳がん患者を特定するためにBRACAnalysis CDx検査(Myriad Genetic Laboratories、Inc.社)も承認した。BRACAnalysis CDx検査の有効性は、BRACAnalysis CDxによる前向き試験または後ろ向き試験のいずれかで、有害または有害な可能性があるgBRCA陽性患者群を検証したEMBRACA試験集団に基づく。

タラゾパリブの推奨用量は、食事の有無にかかわらず、1日1回1mgの経口投与である。

TALZENNA(タラゾパリブ)の全処方情報はこちらを参照のこと。

FDAは本申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤」( Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 畔柳祐子

監修 田原梨絵(乳腺科、乳腺腫瘍内科)

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