がんの手術用語
MDアンダーソン OncoLog 2016年7月号(Volume 61 / Issue7)
Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL
House Call: がんの手術用語
がんの手術はさまざまな理由からさまざまな方法で行われる。
外科手術はがんに対する最も一般的な治療法の一つですが、手術を受けるということは、がんそのものと同じくらいの恐怖を感じるものです。手術についてできるだけ理解することで、このような不安を軽減できるでしょう。もしあなたやあなたの大切な人が手術を受けようとしているのなら、以下の用語を知ておくと役に立ちます。
がんの外科手術の種類
根治的手術は、がんを完全に取り除き病気を治そうとする手術をいう。この手術は、身体の一部分のみに発生したがんに対して最も有用である。術前または術後に化学療法、放射線治療あるいは両者を行うことがある。
姑息的手術は、がんを全て、または一部を取り除き、疼痛や症状を軽減する手術をいう。この手術でがんを治すことはできないが、患者の生活の質(QOL)を改善するのに役立つ。
予防的手術とは、がんが発生しないようにする手術をいう。例えば、家系に乳がん患者が多発する女性が、がんの発生を予防するために乳房を取り除く場合がある。再建手術は、がん治療の後、外観や機能を回復させるために行われる。
ステージング手術は、がんがどこにあり、どのように進行しているかを判断するのに役立つ。
支持的手術では、他のがん治療に向けて患者の準備をする。例えば、化学療法を施行する前にポート(下記参照)を皮下に埋め込むことがある。
開放および低侵襲手術
低侵襲手術とは、キーホール手術または腹腔鏡手術ともいい、1インチ(訳者注:1インチは2.54cm)に満たない切開創で行われる。
開放手術は身体内部を確認できるよう、十分に大きく切開する手術をいう。
ロボット手術は外科医コントロールする1本またはそれ以上のロボットアームによって行う手術をいう。これらのロボットアームは、小さな器具や腹腔鏡(下記参照)を把持することができる。この種類の低侵襲手術は、外科医の腕が激しく疲労するのを防ぐ効果もある。
手術法
アブレーションは、がんを高温または低温にさらすことによって破壊することをいう。細いプローベを用いてがんを焼灼または凍結する方法。
生検は、身体から小さな組織片を採取し、検査することをいう。組織片は手術によってがんを取り除いた後や、組織サンプルを採取するためだけの別の手術により、または手術ではなく生検針を用いる方法で採取することができる。生検は、正確な診断をするのに役立つ。
切除術または摘除術とは、手術により取り除くことを意味する。術名の最後に「切除術・摘除術」という語があったら、臓器や器官の全て、またはその一部を取り除く予定であることを示している。例えば、腫瘍切除術といえば腫瘍の除去を、腎摘除術は片方の腎臓を全て、または一部を除去することを意味する。
手術器具
カテーテルは、柔軟性のあるチューブで、体内に液体を注入したり、液体を体外に排出したりするのに使用される。
ドレーンは、手術創や身体の一部から液体を排出させる、チューブに似た器具である。
内視鏡、腹腔鏡、胸腔鏡は、細く、ライトとレンズが付いたチューブのような器具で、身体の内部を見るために使われる。これらの器具には、手術に使用する器具が装着されることがある。
ポートおよびポルタカス(訳者注:商品名)は、皮下に埋め込み、血管内に通じる小さな器具である。患者に何度も針を刺すことなく、この器具から薬剤を投与したり採血したりすることができる。
シャントとは、身体内のある部分から別の部分へ体液を移動させる通路である。例えば、血液の流れを変える場合に外科医はシャントを用いる。
がんや他の臓器を説明する用語
両側性のがんとは身体の左右を冒すがんをいう。例えば、両側性の乳がんは左右の乳房に病変が認められ、両側の乳房切除(両側の乳房を取り除くこと)によって治療されることがある。
手術不能のがんとは手術による治療が不可能ながんをいう。放射線治療や化学療法といった別の治療法が用いられる。
閉塞症とは、体内の通路が塞がれることである。例えば、結腸がんは時に腸閉塞の原因になり(結腸は大腸の一部である)、切除しなければならない場合がある。
手術可能ながんとは、手術による治療が可能ながんをいう。
切除可能ながんとは、手術可能で、手術により完全に取り除くことができるがんをいう。
片側性のがんとは、身体の片方のみを冒すがんをいう。例えば、片側性乳がんは片方の乳房のみを冒す。
もしあなたを担当する医療チームからあなたにとって聞き慣れない用語を聞いたときは、必ず説明を求めましょう。喜んで応じてくれるはずです。がんに関する用語はhttp://bit.ly/28KKMv4でも確認できます。
– L. Russell
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