FDAが進行肺癌の治療にGilotrif(アファチニブ)を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2013年7月12日
Media Inquiries: Susan Laine, 301-796-5349
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが進行肺癌の治療にGilotrif(アファチニブ)を承認

適応となる患者を特定するためのコンパニオン検査も同時承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、FDA承認を受けた検査により上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異の発現を認める進行(転移性)非小細胞肺癌(NSCLC)と診断された患者に対して、Gilotrif(アファチニブ[afatinib])を承認した。

肺癌は男女ともに、癌関連死における第1要因である。米国国立癌研究所によれば、米国では今年、推計で228,190人が肺癌と診断され、159,480人が肺癌により死亡するという。肺癌のうち約85%がNSCLCであり、もっとも一般的なタイプである。EGFR遺伝子変異は、NSCLCの中で約10%にみられ、大半はエクソン19の欠損またはエクソン21のL858R変異である。

Gilotrifは癌細胞の増殖を促進するタンパク質を阻害するチロシンキナーゼ阻害薬である。本薬剤はEGFR遺伝子のエクソン19欠損またはエクソン21のL858R変異の発現が認められる腫瘍を有する患者に適用される。Gilotrifは、肺癌患者の癌細胞がEGFR変異陽性かどうかを判定するコンパニオン診断薬のtherascreen EGFR RGQ PCR Kitと同時承認された。

「本日の承認は、疾病の根本にある分子経路への理解の深まりが、標的治療の発展につながることを示しています」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長のRichard Pazdur医師は述べた。「GilotrifはEGFR遺伝子のエクソン19欠損またはエクソン21のL858R変異の腫瘍を有する未治療の転移性NSCLC患者に対して承認された、今年2つ目の承認薬です」。

FDAは今年5月、NSCLC患者の一次治療薬として、タルセバ(エルロチ二ブ)を承認している。タルセバの適応拡大は、EGFR遺伝子変異を有する肺癌患者を検出するコンパニオン診断薬のcobas EGFR Mutation Testと同時に承認された。

「コンパニオン診断薬と薬剤が承認されることで、患者に安全で有効な治療を提供できるようになるため、腫瘍科にとって重要な進展です」と、FDA医療機器・放射線保健センターの体外診断薬・放射線保健室長のAlberto Gutierrez博士は述べた。

コンパニオン診断薬のtherascreen EGFR RGQ PCR KitのFDA承認は、Gilotrif承認に向けて行われた臨床試験データに基づく。本試験に参加したNSCLC患者の腫瘍サンプルにより、本診断薬がNSCLC患者の中からEGFR遺伝子変異を検出することを検証した。

Gilotrifの安全性と有効性は、EGFR変異陽性腫瘍で転移性NSCLCの患者345人が参加した臨床試験で確立された。参加者はGilotrif投与群と、シスプラチンとペメトレキセド併用による化学療法群にランダムに割り付けられ、最長6サイクルの投与を受けた。

Gilotrif投与群の腫瘍増殖が止まった期間(無増悪生存期間)は、化学療法群と比較して4.2ヵ月長かった。全生存期間において統計的有意差はみられなかった。

Gilotrifの一般的な副作用は、下痢、ニキビのような発疹、乾燥肌、痒み(掻痒症)、口内炎症、爪周辺の皮膚感染症(爪周囲炎)、食欲不振、体重減少、膀胱炎、鼻血、鼻水、発熱、目の炎症、および血中のカリウム低下(低カリウム血症)であり、重篤な副作用は、腎不全や重度の脱水症を起こす可能性のある下痢、重度の発疹、肺の炎症、肝臓毒性だった。

GilotrifはFDAの優先審査プログラムで審査を受けた。このプログラムは、安全で有効な治療法と考えられ、他に有効な治療法が存在しないか市販製剤と比較して有意な改善をもたらす薬剤に適用される。

Gilotrifはコネチカット州リッジフィールドに本社を置くBoehringer Ingelheim Pharmaceuticals社によって販売されている。Therascreen EGFR RGQ PCR Kitは英国に拠点を置くQIAGEN Manchester社が製造している。Cobas EGFR Mutation Test診断薬は、カリフォルニア州プレザントンのRoche Molecular Systems社が製造している。タルセバはRocheグループのメンバーでカリフォルニアに拠点を置くGenentech社およびニューヨーク州ファーミンデールのOSI Pharmaceuticals社によって協同販売されている。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA:  CDRH Office of In Vitro Diagnostics and Radiological Health (医療機器・放射線保健センター、体外診断薬・放射線保健室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕

FDA: Drug Inovation(薬剤における革新)〔原文〕

******
片瀬ケイ 訳
大渕俊朗(呼吸器・乳腺分泌・小児外科/福岡大学医学部) 監修 
******

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効の画像

STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させるの画像

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解(引用)
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)の画像

世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)

特集:術前・術後の免疫療法、HER2およびEGFR遺伝子変異を標的とした治療など、肺がん治療における有望な臨床的進歩テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは...
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長の画像

肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「過去15年間にわたり、ミシシッピ・デルタ中心部における質改善の取り組みは、この高リスク集団の...