コロナウイルス―がん患者さん向け情報

2021年5月14日版(5月30日更新)

  • ・コロナウイルスまたはCOVID-19とは何ですか?
  • ・現在がんを患っている、あるいは過去に患っていた場合、COVID-19による重症化のリスクは高くなりますか?
  • ・現在がんを患っている、あるいは過去にがんを患ったことがある場合、COVID-19ワクチンを接種すべきですか?
  • ・COVID-19 ワクチンと乳がん検診
  • ・自分を守るための他の方法はありますか?
  • ・感染症の症状がある場合はどうすべきですか?
  • ・この時期はストレスが溜まります。どのように対処すればいいですか?
  • ・他に質問があった場合はどうすればいいですか?

■コロナウイルスまたはCOVID-19とは何ですか。

コロナウイルスは人やさまざまな動物種によく見られるウイルスの一群です。SARS-CoV-2は新規の(新型)コロナウイルスで、COVID-19と略される新型コロナウイルス感染症と命名された呼吸器疾患の蔓延を引き起こします。

■現在がんを患っている、あるいは過去に患っていた場合、COVID-19による重症化のリスクは高くなりますか?

がんを患っていると、COVID-19による重症化のリスクが高まります。また、免疫力の低下、高齢、その他の病状など、COVID-19による重症化のリスクを高める要因もあります。

血液腫瘍の患者は、固形がんの患者に比べて、COVID-19による感染症の長期化や死亡のリスクが高いと考えられます。これは、これらの患者が、ウイルスに対する抗体を産生する免疫細胞のレベルが異常であったり、枯渇していることが多いためです。

NCIは、COVID-19のリスク因子について詳しく知り、医師ががん患者とCOVID-19の患者の治療をよりよく管理できるようにするために、COVID-19を有するがん患者を対象とした大規模な研究を行っています。

現時点では、がんの既往歴があることで、COVID-19による重症化のリスクが高まるかどうかは分かっていません。過去にがんの治療を受けたことがある人は、COVID-19についての懸念を医師と話し合う方が良いかもしれません。

■現在がんを患っている、あるいは過去にがんを患ったことがある場合、COVID-19ワクチンを接種すべきですか?

米国疾病管理予防センターは、12歳以上のすべての人にCOVID-19ワクチンの接種を推奨しています。これには、がんなどの基礎疾患がある人や、がんの臨床試験に参加している人も含まれますが、臨床試験の参加者は、臨床試験の研究チームに相談し、その指示に従ってください。

最近、化学療法、幹細胞あるいは骨髄移植、細胞療法など、免疫系を抑えるがん治療を受けた人は、医師から免疫系が回復するまで待って,ワクチンを接種するように言われるかも知れません。また、医師はワクチン接種の2週間後まで待って免疫を抑制する治療を受けるように指示することもあります。

COVID-19ワクチンの臨床試験では、COVID-19による重症化のリスクが高い基礎疾患を有する人と、それらの疾患を有さない人では、ワクチンの安全性と有効性が同等であることが示されています。また、インフルエンザのような他の感染症のワクチンは安全であり、がん患者にも推奨されています。

しかし、ほとんどのCOVID-19の試験では、がん患者が除外されているため、これらの人々におけるCOVID-19ワクチンの安全性と有効性については、さらなるデータが必要です。がんの治療を受けている人や免疫抑制状態にある人は、ワクチンに対する反応が弱くなる可能性があるという証拠もあります。がん患者さんをCOVID-19から守るためには、家族や恋人、介護者がワクチンを接種することが重要です。

■COVID-19 ワクチンと乳がん検診

COVID-19ワクチンを接種すると、脇の下のリンパ節が一時的に腫れる可能性があることが、最近の研究で明らかになりました。このワクチンの副作用は、乳がんの兆候と誤解される可能性があるため、一部の腫瘍学グループは、COVID-19ワクチンの接種を終えてから4~6週間待ってからマンモグラフィを受けることを推奨しています。

■自分を守るための他の方法はありますか?

ワクチン接種以外でCOVID-19を予防する最も効果的な方法は、原因となるウイルスにさらされないようにすることです。COVID-19による重症化のリスクが高い人は、他の人との交流をできるだけ制限し、他の人と交流する際にはCOVID-19に感染しないように予防策をとることで、自分を守ることができます。そういった予防策には以下のようなものがあります。

  • ・よくフィットしたマスクで鼻と口を覆う。
  • ・同居していない人から6フィート(約1.5m)離れる。
  • ・COVID-19のワクチンを受ける。
  • ・人混みや風通しの悪い室内を避ける。
  • ・石鹸と水で頻繁に手を洗う。
  • ・石鹸や水が使えない場合は、手指消毒剤を使う。咳やくしゃみが出る時は覆う。
  • ・頻繁に触る場所は毎日清掃・消毒する。
  • ・COVID-19の症状に注意する。

■感染症の症状がある場合はどうすればいいですか?

COVID-19にさらされたと考えられる場合、または感染の症状がある場合は、他の人から隔離し、医療機関に連絡してください。コロナウイルスの検査を受ける必要があるかもしれません。

この時期はストレスが溜まります。どのように対処すればいいですか?

コロナウイルスに直面してがんと向き合うと、慣れないさまざまな感情が出てきます。気持ちの持ち方や対処法についてご紹介します。

他に質問がある場合はどうしたらいいですか?

NCIのがん情報サービス(CIS:Cancer Information Service)が、COVID-19やあなたのケアに関する質問への回答に役立つかもしれません。

関連リソース

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翻訳担当者 中野駿介、佐々木亜衣子(更新)

監修 廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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原文掲載日 

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